開催から少し時間が経ってしまいましたが、先月の9月26日(土)、モデルハウスkoseligにて、アルテックジャパンの吉川さんをお迎えしたトークイベントを開催いたしました!
吉川さん、ご協力いただいたメトロクス札幌さん、そしてご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
実は私三好は、ホクシンに入社するまでアルヴァ・アアルトの存在を知らず、
入社後も本を少し読んだ程度の知識しかありませんでした。
そんな中で聞いた吉川さんのアルテック愛溢れるお話は、ストレートに心に響くものばかりでした。
印象的だったのは、アアルトが建物だけでなく家具もデザインし、
そこには「誰が、何のために、どこでどう使うのか」までが細やかに考えられているということ。
療養施設の椅子をデザインした際には、患者さんの辛さを考慮して傾斜をつけたり、寒さに厳しいフィンランドの冬でも冷たさを軽減させる素材を使ったりと、デザインの美しさだけではなく、ひとつひとつにちゃんとした意味があるということでした。
そして、そこにはフィンランドの木を使ったあたたかみがあり、生活の中から美しさを探す、「美しき日常(kaunis Arki)」というフィンランドデザインの考え方にも通じているそうです。
これは、私たちが日頃から北海道の木を使い、住まう人の「暮らし」を考えて家づくりをしている想いと、すごく重なるなと感じました。
大きくてかっこいい家だけが良いというわけではなく、その人にとっての心地よい居場所や時間を作る大切さ。日常の中で、気持ちが良い場所や、お気に入りのものを並べて心が豊かになるような、ちょっとほっとするものこそ、「美しき日常」と言えるのではないかと思いました。
これからもお客様と一緒に、家づくりへ真摯に向き合っていきたいと、改めて感じました。
また、お話の中で「かわらないことの大切さ」と「かわっていくことの大切さ」についても深く考えさせられました。
アアルトの作品の中でも、特に「スツール60」という名作の椅子はとても有名です。
曲木の技術を活かしてつくられたシンプルな椅子で、あらゆる環境・文化に馴染み、ほとんどの人が一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

1933年に考案されたものですが、今なお人気を誇り、今後もずっと続いていくものであることと思います。
良いものは、その姿を変える必要がなく、愛され続けていくものですよね。
一方で、フィンランドの森についてのお話では、近年の資源減少の問題を考慮して、アルテックでも「Wood Selection」という材料の選定基準を見直した製品を打ち出しているそうです。
以前は、節や虫の通り道の跡など、木材の見た目に少し気になる部分がある材料は使用していなかったとのことですが、大切な森を守り続けていくために、材料として品質に問題のないものは使っていく。
それにもまた違った美しさがあると、考えているそうです。
このように、根底にあるデザインの思想は変わらない一方で、使う素材については環境や未来のことを考えながら変えていく。
「何が大切か」のブレがないブランドだからこそ、その確かな判断のもとで長く続いているのだと実感しました。

最後に、吉川さんに教えていただいた「組み合わせ可能なテーブル」のお話が、とても心に残っています。
1人用から買い足して2人用、3人、4人用へと家族の成長に合わせて変化し、やがて子供が独立するときにそのひとつを持たせる…。
アルテックには、そんな風に時間の流れに寄り添える家具があるんだと、胸が熱くなりました。
長く大切に使える家具は、単なる道具ではなく、家族の時間や繋がりを未来へ届けてくれる存在になるのだと実感します。
安くて便利なものをその都度買う良さもありますが、暮らしや居場所をつくるものには、世代を超えて受け継がれるようなストーリーがあったら素敵だなと感じます。
そんなお話を聞いたからでしょうか、
先日、祖父からレトロな手動コーヒーミルを譲り受けたことを思い出しました。
私が小学生の頃、祖父が毎朝豆を挽いていた思い出の品です。
憧れていた祖父の大切なものを、大人になった自分が日常で使い、繋がりを感じられる嬉しさ。
アルテックのお話を聞いた後だからこそ、よりいっそう大切にしていきたいなと感じました。

家具も家も、そんな風に時間をかけて、誰かにとってのかけがえのない「大切なもの」になっていったらいいなと思っています。